腸閉塞の症例

 

 室内で飼っておられる小型犬が急に嘔吐し始めたということで来院されました。

散歩に行ったときは異常が無く、夜になってから嘔吐が止まらないということで、

検査をしましたが、レントゲン、血液検査などでも、大きな異常が無く、発熱も見られないため、

点滴などの対症療法をしてから、帰っていただきました。

翌日になっても嘔吐が止まらず、何日か、通院していただいても、改善が見られないため、

バリウム造影を行いました。

これはバリウム投与後30分の写真ですが、かなりの量が胃から流れ出しています。

 

その後何枚か撮影しましたが、翌日も、バリウムが胃の中に残存しています。

これにより、腸閉塞(不完全閉塞)の状態が疑われますので、開腹手術を行いました。

 

腸管内に異物があるのが分かります。

 

腸管を切開して、異物を摘出しているところです。

 

腸管を切開したところ

 

腸管壁を縫合しているところ

 

腸管の吻合を終えたところ

 

取り出した異物 (おそらくゴム製の人形)

 

今回の症例は散歩の途中で落ちていたゴムの人形を食べていたのが原因と思われます。

急性の嘔吐は良く見られる症状ですが、原因は様々です。

今回の症例では、異物の中央がパイプ状になっており、消化液がその中を僅かに通過

していたため、完全閉塞に至らず、かえって発見が遅れました。

幸い経過は順調で、元気に食欲も戻り、排便も正常になりました。

 

 

脾臓の血管肉腫摘出手術

血管肉腫は脾臓に発生しやすく、急速に成長する悪性の腫瘍です。

今回の症例ではすでに腹腔内に転移がみられたので、原発の脾臓の

全摘及びリンパ節の摘出のみを行いました。全身状態をみながら、

化学療法の実施も考慮する必要があります。

出血傾向があり、止血に時間をかけています。

両手で抱えられないほどの大きな脾臓

すでに腹腔内に転移が見られます。

皮膚の縫合を終えたところ

長さ50センチ、重さ1,6キロの脾臓

手術後も食欲はあります。

 

 

膀胱結石摘出手術

膀胱内に蓄積した結石が徐々に融合して大きな塊にまで

成長することがあります。小さいものであれば処方食や

内服薬で溶けることもありますが、ここまで大きくなると

手術して取り出す以外、選択肢はありません。

この方の場合、血尿を断続的に繰り返していたそうです。

 

右下の膀胱内に卵形の結石がレントゲンで確認できました。

膀胱内から結石を摘出しているところです。

結石を摘出した後の膀胱壁です。かなり肥厚が見られます。

手術後20分経過した患者さん

燐酸アンモンマグネシウム結石(一番多いタイプ)

 

 

 

 

 

 

 

頚静脈フィラリア摘出術

 

心臓内(右心房や右心室)、あるいは肺動脈に寄生しているフィラリア虫体が、

後大静脈に栓塞を起こし、急性の症状(心雑音、血色素尿など)を見せることが

あります。このような状態に対し、行われる手術が頚静脈フィラリア摘出術です。

  

                   左の頚部からアプローチします。     頚静脈を分離、露出しているところ

 

   

                         左上から血管の中に続いているのがフィラリア虫体(オス)です

 

   

                  血管縫合をして、血流の再開を確認     皮膚縫合の終了後

 

 

 

 避妊手術(妊娠している場合)

 

 すこし麻酔が効いてきました

 

  オペ中はこれで心電図などを監視します。 

 

  妊娠した子宮を摘出しています。

 

  縫合しています。

 

  終了後の腹部です。十日後に抜糸の予定です。