猫白血病ウィルスと猫免疫不全ウィルス

<猫白血病ウィルス>

現在猫の感染症の中で、最も危険と考えられているのがこの猫白血病ウィルス(Felv)である。

Felvは免疫系の低下を招くレトロウィルスの一種で、あなたの猫が感染症と戦う能力を損なうのである。

このウィルスにはまた、貧血や白血病の他に、いくつかの癌の原因にもなっている。

 

Felvによる徴候は、他のウィルス感染症と同様、非常に多岐にわたっている。

それには次のようなものがある。

・歯茎が白っぽい。

・衰弱

・不活発

・下痢

・体重減少

・食欲不振

・呼吸困難

・飲水過多、神経異常

 

このウィルスは猫同士の接触によって感染する。つまり、唾液や涙、尿に接触する事により、伝播していく。

外へ出て行く猫は特に危険である。

Felvが犬や人間に病気を起こす事はない。

 

Felvは簡単な血液検査で診断することができる。我々が強く勧めているのは、初めて猫を飼ったときに、

このウィルスの検査をしておくと言う事である。

この検査で猫が陰性であることが分かれば、ワクチンによってこのウィルスの感染を防ぐ事が可能である。

このワクチンの効果は100パーセントではないが、ほとんどの猫に免疫をつけることができる。

またごく稀に副作用が現われる事がある。

 

このウィルス感染する可能性の高い、生後70日、あるいはそれ以上のすべての猫は、ワクチン接種が望まれる。

もちろんこれは、いつも外で過ごしている猫や、家庭でたくさん飼われている猫、そして猫の繁殖家や、

キャットショウの猫についてもいえる。

 

もしあなたの猫が完全に室内だけで飼われているのなら、Felvワクチンの必要について、あなたの獣医師とよく、

相談してください。

 

<猫免疫不全ウィルス FIV>

猫の免疫不全ウィルスは1986年に初めて確認された。

その名が示すとおり、このウィルスは人間のエイズとたいへんよく似た症候群を引き起こす。

HIVと同じようにFIVにも症状を出し始めるまでに、何年にもわたる潜伏期間が存在する。

FIV陰性の猫であっても、この病気の症状を出さずに寿命を全うするものもいる。

 

しかしウィルスがいったん活性化すると、免疫系を抑制するように働くので、普通であれば体の抵抗力で守れるような

感染でも、病気がひどく悪化し、衰弱してしまうことがある。

 

猫がFIVウィルスを伝播させるのは噛むことによってだけであり、尿や通常の接触では感染しない。

FIVウィルスが犬や人間に感染するという証拠はどこにもない。

血液検査によって(Felvと一緒に検査される事が多い)、感染の有無が分かる。

Felvの検査をするすべての猫は、同時にFIVの検査もした方が良い。

不幸な事に、現在FIVに有効なワクチンはなく、この病気に対する治療法もない。

 

FIVから身を守る最も良い方法は予防である。あなたの猫を室内に置き、去勢あるいは避妊しておくべきである。

というのは、避妊や去勢をすると、けんかをする事がずっと少なくなるからである。

最も大事な事は、新しく猫を自宅に迎えるときに必ずウィルステストをあらかじめ受けるようにする事である。