慢性腎不全

<はじめに>

慢性腎不全はあらゆる種類の猫に良く起こる問題である。

食物が消化されて老廃物となると、それらは血液によって腎臓に運ばれ、ろ過され、尿の形で、

排出される。

いったん腎臓が悪くなると、これらの老廃物を排泄できなくなり、血液中に溜まった毒素によって

様々な腎臓病の徴候が現われてくる。

 

あらゆる品種と年齢の猫にCRFは発生するが、罹患率は年齢とともに増加する傾向にあるので

、老齢猫ほどこの病気になりやすいといえる。

猫でこの病気と診断される最も多い年齢は9歳である。

アビシニアンやペルシャなどの品種はこの病気になりやすいと考えられている。

CRFはほとんどすべての体の機能に影響を与えるので、全身に多くの変化が現われる。

その結果、次のような事がおこる。

・血液をろ過する機能の異常及び老廃物の貯留。

・ホルモンの生産ができなくなる。(赤血球の生産を刺激するエリスロポイエチンなどの物質)

・水分、電解質、酸塩基平衡のバランスが妨害される。

 

CRFはいくつかの異なった過程によって引き起こされる。それには他の病気や外傷の結果、

二次的に起きる病気があり、その結果、急性の腎不全が起こる。例えば、

・毒物

・血流量の不足と酸素の欠乏

・炎症性疾患

・感染

・癌(新生物)

・免疫系の異常

 

<どんなことに気をつけるか>

・のどが渇く

・寝てばかりいる。

・嘔吐

・口が臭い

・食欲不振

・衰弱

・歩行時の協調不全

・元気がない

・尿量の増加(ペットがトイレを頻繁に使っていたり、家の中の異常な場所で排尿したり、

猫のトイレの重さが増えたり、などでわかることがある。)

 

<診断>

CRFであると診断し、他の病気を除外するために、検査が必要である。これには次のようなもの

がある。

・十分な病歴聴取

・完全な身体検査

・血液検査

・尿検査

・レントゲン

 

<治療>

完全に治る事はないが、より早く発見する事により、病気の進行を遅らせる事が出来る。

CRFは命を脅かす状態なので、重症例では状態を安定させるための治療及び入院が

必要になる。 治療には次のようなものがある。

・脱水した動物では補液療法

・高カリウム血症、低カリウム血症(血液中のカリウムの濃度の異常)、代謝性アシドーシス

、高リン血症、などの血液異常の管理

・蛋白やリンを制限した食事療法

・水をいつでも飲めるようにする。

・やさしい看護と尿排泄量の管理。

・必要であれば食事や薬物療法による嘔吐のコントロール

・貧血の治療

 

<家庭での看護>

慢性腎不全は命にかかわる病気なので、あなたの猫がもしこの病気かもしれないと思ったら、

出来るだけ早く、獣医師に連絡してください。

その後も定期的に検診や検査、尿分析をする方が良いでしょう。

血液や尿の分析は退院後5〜7日ごとに繰り返すべきである。

 

あなたの獣医師が勧める食事を与えてください。

いつでもきれいな水を飲めるようにしてください。

もし必要であれば飼い主が自宅で皮下注射をすることもある。

必要であれば、獣医師が指示を与えます。

 

あなたの獣医師に指示された薬物を与えてください。薬物療法には次のようなものがある。

リン酸塩結合剤、カリウム追加剤、嘔吐に対する薬(シメチジンやファモチジン)、場合によって

同化ステロイド等がある。

エポジンは週に2〜3回投与される。

 

<予防ケア>

慢性腎不全を予防する特別な方法はない。しかしながら、一般的にお勧めしたいのは、

次のような事である。

・いつでも排尿できる、そして、いつでも水が飲めるようにする。

・腎臓に急性の障害をもたらす、エチレングリコールや有毒植物(白ゆり)に、

近づけないようにする。