胃腸炎(急性の嘔吐や下痢)

 

<はじめに>

急性の嘔吐や下痢の特徴は、突然始まってせいぜい二〜三週間しか続かないという短い経過をたどる事である。

急性の嘔吐と言うのは、胃腸の内容物が強い力で口から押し出されると言う反射であり、

下痢と言うのは、腸運動の頻度や流動性、量が増す事によって、便中の水分が増える事を意味する。

そしてどちらの症状も犬では珍しいことではない。

 

ときおり嘔吐や下痢が見られることは犬では決して珍しい事ではないが、

急性でしかも激しい嘔吐と下痢が起きたなら、それは正常ではない。

しかもそれは命にかかわる病気の可能性がある。

それが原因で急激に液体成分が失われ、酸塩基平衡や電解質のバランスが崩れる事がある。

 

<注意する事>

   ・持続しているか悪くなってるという徴候(数日前より)

   ・脱水 

   ・元気喪失

   ・無関心

   ・便、あるいは嘔吐物の中に血が混じる。

 

<一般的な原因>

   ・間違った食餌   不適当な食餌や薬物を食べた事による

   ・食餌不耐性

   ・感染症   細菌、ウィルス、カビ、寄生虫

   ・薬物あるいは毒物

   ・腸閉塞   腸管自体が入り込んで起きる腸重積のほか、腫瘍や異物が原因

   ・代謝性障害   腎臓病、肝臓病、糖尿病、副腎皮質機能亢進症

   ・腹部の病気   膵炎、腹膜炎、子宮蓄膿症、前立腺炎、敗血症

   ・腸の炎症

   ・種々雑多な原因   胃十二指腸の潰瘍、出血性胃腸炎、ストレス、胃腸のリンパ肉腫(癌)

 

<診断的検査>

急性の嘔吐や下痢を示す症例では多くの場合それほど長く続く事はなく、容易に治療できるので、

いろんな検査をする必要がない。

検査が必要になるのは、動物が激しく嘔吐や下痢をしていたり、他の病気の徴候を示しているとき、

あるいは嘔吐物や便に血液が混ざっているときなどである。

これには次のような検査がある。

   ・完全血球検査

   ・生化学検査

   ・尿分析

   ・腹部レントゲン

   ・何回もの検便

 

<治療>

あなたのペットを獣医師が治療するにあたって、必ず勧める原則というものがある。

対症療法の目的と言うのは、体液や電解質のバランスを保ち、胃腸を完全に休ませる事である。

   ・水分、電解質療法

   ・胃腸粘膜を保護する薬物

   ・嘔吐や下痢を系統的に止める薬物

   ・数時間は絶食し、その後、段階的に水から始めて、処方食から与えてみる。

 

<家庭での看護>

病院から帰ったあとは食餌や薬に関して、すべての指示に従う事。

おそらくこの指示には、水分や食餌を控えるということがあるはずです。

注意深くペットを観察する事。

もし一日二日経っても症状が改善しないか、あるいは余計に悪くなっていうようであれば、

すぐに診てもらってください。